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適格消費者団体学習講演会に73名が参加

国民生活センター松本理事長が講演

 
【松本恒雄先生のご講演の様子】

 2014年3月8日、山形国際ホテルにて、適格消費者団体について理解を深め、東北地方で適格消費者団体の設立に向けてネットワークの形成をめざすために講演会を開催し、一般県民、学者、法曹関係者、行政関係者など73名が参加しました。

 学習会は、山形県消費生活審議委員で、今回の講演会の事務局を務めた山形大学のコーエンズ久美子教授の司会で進められました。

 最初に、山形県生協連の松本政裕会長は「消費者契約法に基づき、事業者による不当な勧誘行為、不当な契約条項を含む契約の締結を差し止める権利が、国の認定を受けた適格消費者団体に認められた。さらに、悪徳商法などの被害者に代わり、特定適格消費者団体が業者に対して被害回復の訴訟を起こせるようにする法律が昨年12月に成立した。東北地方にはこのような権利を行使できる適格消費者団体が一つもない。東北地方における適格消費者団体の認定をめざす『消費者市民ネットとうほく』が昨年10月に設立された。本日の講演会は、適格消費者団体の意義、役割等の理解を深める目的で開催」とあいさつを行いました。

 続いて、同じく、山形県消費生活審議委員で、今回の講演会の事務局を務めた山形大学の小笠原奈菜准教授が国民生活センター理事長・元一橋大学教授の松本恒雄先生の紹介を行い、その後講演に移りました。

 松本恒雄先生は「消費者が事業者との取引において被害を受けた場合、消費者は本来の債務の履行を請求したり、支払い済み代金の返還を求めたり、損害賠償や代金減額を請求することができる。しかし、個々の消費者が本人訴訟を行うことは困難なため、特定適格消費者団体が裁判手続きを遂行できる制度が導入された。この制度によって、消費者は敗訴リスクや第一段階での訴訟コストを負担することなしに第二段階での金銭支払い請求に加わることができる。消費者はいわば勝ち馬に乗ることができる。 また、この制度は、行政の役割を民間(適格消費者団体)が担うという行政規制の民営化の側面がある。事業者に金銭を支払わせる場合、1被害救済、2利益の吐き出し、3制裁、という3つの側面がある。今回の制度は、1被害救済と2利益の吐き出しの促進というもので、懲罰的な性質での損害賠償を求めるものではない。アメリカでは実害の2倍ないし3倍の支払いを認める制度がある。中国の消費者権益保護法では、従来の2倍賠償から4倍賠償に引き上げられた。食品の場合、返金とは別に価格の10倍保障である。日本においても、弱者狙い撃ち商法には2〜3倍の賠償を検討すべきである。被害救済として、不当表示によるやり得に対応できるように課徴金や民事制裁金の制度を検討すべきである。アメリカでは加害者の不当な利益を全部あるいはそれ以上に吐き出させようとしているのに対し、日本は被害者の不当な利益を許さないという逆転の発想になっている。もう少し、柔軟な法制度設計を考えなければならない。たとえば、事業者から吐き出させた利益のうち被害者へは実損害のみを返還し、残額は消費者被害対策のための基金(仮に「消費者基金」と呼ぶ)とするという仕組みをつくることも考えられる。 消費者相手に違法なことをしても利益にならないどころか損をするという法制度をつくっていくことが、消費者取引における被害の予防効果が大きく、違法行為の抑止につながる。そのことが消費の拡大と成熟した社会の形成の大前提」と一般消費者にも分かり易くお話になりました。

 その後、会場からの質問に対し、松本恒雄先生から丁寧な解説を受けました。以下、質問と回答の要旨を紹介します。

1質問…事業者に金銭を支払わせる場合の3つの側面の一つに「利益の吐き出し」とあるが、この際に吐き出させる「利益」は、消費者の被害総額のみの「利益」か、または消費者から取ったお金でさらに事業者が儲けたというような「利益」も含まれるのか。

回答…前者のみ。後者については別途検討すべき。

2質問…事業者への課徴金等の制度を取り入れた場合、特定適格消費者団体が行なう第一段階での訴訟の中で、消費者の被害総額のような課徴金の額を決定する仕組みにつなげられるのか。

回答…第一段階の訴訟が、そのような役割を果たす可能性はある。

3質問…消費者基金というのは,被害者の焼け太りを防ぐという目的と,事業者のやり得を許さないという意味で。素晴らしい構想であると思うが,外国に同様の制度があるか。

回答…詳しく調べてはいないが,アメリカ等にはある可能性がある。

4質問…中国において制裁的に事業者の賠償額を2倍、4倍とし、被害者がその全額を受け取れるという制度をご紹介いただきました。わが国でも事業者に対する「制裁的な」課徴金制度は検討に値するというお話しをいただきましたが、同時に被害者の「焼け太り」の問題も指摘されています。被害者に対する救済はやはり被害額に限定されると考えてよいでしょうか。

回答…悪質な事業行為の抑止、不当な利益の剥奪といった視点から、制裁的な賠償の制度については検討、議論を続けていくべきですが、被害者に対しては被害額の賠償というのが基本であると思います。制裁として課された賠償金は、消費者被害を防止するための活動のために、「消費者基金」などのような特定の団体等に配分するということを考えていくべきでしょう。

 休憩の後、第2部に移り、「鈴木裕美弁護士より消費者市民ネットとうほくの活動について」と題して報告がありました。鈴木裕美弁護士は、適格消費者団体とはどういうものか、消費者団体訴訟制度の導入経緯や差止の対象となる行為の説明、地方自治体と適格消費者団体が連携して被害拡大防止にあたることが必要と話されました。

 続いて、小野寺友宏弁護士より「東北における適格消費者団体設立に向けた活動」と題して報告がありました。小野寺友宏弁護士は、消費者市民ネットとうほくの設立までの経過、適格消費者団体の認定まで2年間の申請準備活動が必要なこと、そして認定申請の要件として1正会員100人の募集、2専門家の確保、3正味資産の確保などに取り組んでいくことを報告しました。

 最後に、司会が、山形県内での消費者市民ネットとうほくの会員を広げることを訴え、学習講演会を終えました。当日は、受付にて4名の正会員の申し込みがありました。

 適格消費者団体学習講演会の終了後に、松本恒雄先生と消費者市民ネットとうほくの講師の方を囲んで、適格消費者団体のネットワーク形成に関する懇談会を開催しました。関係者23名が参加し、それぞれの団体の活動状況や今後の取り組みについて交流しました。是非、年に一度はこういう学習会を一緒に開催したいというご意見等も出され、なごやかに懇談しました。

<参加者からの感想(一部抜粋)>

  • 今まで泣き寝入りしていた消費者が多かったですが、救済や被害の未然防止のための団体ができるということで、うれしく思っています。個人ではとても対応できないことも多かったので、心強く思います。
  • 適格消費者団体の役割を勉強できて良かった。消費者市民ネットとうほくの活動のイメージを掴むことができた。
  • 諸外国の消費者の権益保護制度について、興味深く聞きました。
  • 本日は、レベルの高い学習会、ありがとうございました。一般消費者としては質問するまでに至りませんでしたが、松本先生の噛み砕いた講演と消費者市民ネットとうほくのお二人の弁護士の講演で、適格消費者団体が何なのかおぼろげにわかりました。今後事例から学んでいきたいと思います。
  • 消費者庁が発足したが、その役割の発揮は不充分。消費者が協同して、その権利を拡大して行くことが必要なことを学んだ。地元の消費者講座を実施してきているが、その被害が大きく、まだまだ不足を実感してきている。東北に、消費者の権利と権益を守る団体ができることは大賛成です。
  • 本日は、松本先生の貴重なご講演ならびに、適格消費者団体設立に向けた活動の具体的なお話を伺うことができて大変有意義でした。現在、東北は適格消費者団体がない空白地帯とされていますが、東北は高齢化率も高く消費者トラブルあっても自分が悪かったと申し出ない方も多いと思われ、悪質な業者にとっては活動しやすい土地柄であり、抑制効果の意味においても、すみやかな設立が望まれます。設立をめざすNPO団体、行政、消費者団体が密に連携し、早期に設立されることを期待します。
  • 行政の立場からの参加でした。最初は弁護士や大学の先生が集まって下さった方が良いのでは? と思っていましたが、行政との連携が重要とお聞きし、行政も参加して良かったのだと感じられました。
  • 学習会に初めて参加しました。被害者が訴訟できるコストを軽減できてよかったと思います。精神的・肉体的な被害は個人賠償となるので広く知ってもらいたいです。誤解されそうですので。
 
 
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