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中川雄一郎先生による「協同組合講座」を開催

協同組合は「未来の創造者」になれるか

 

 9月18日に東京第一ホテル鶴岡で山形県生協連主催の「協同組合講座」が開催され、県内の会員生協から組合員と役職員78名が参加しました。講師は、明治大学政経学部教授の中川雄一郎先生です。

 はじめに、山形県生協連の松本政裕会長が開会の挨拶と講師の紹介行い、早速講演に入りました。

 中川先生は、講演のタイトル「協同組合は『未来の創造者』になれるか」は、1980年10月にモスクワで開催された国際協同組合同盟(ICA)第27回大会にA. F. レイドローによって提出され、採択された――「レイドロー報告」と呼ばれている――『西暦2000年における協同組合』の中に書かれている文章から取ったものであること、そしてこの報告はそれ以後30年以上にわたって協同組合人や協同組合組織に大きな影響を与えてきている、と説明しました。

 「レイドロー報告」にはまた、「未来の歴史はまだ書かれていない」、「協同組合人はそれを書くことに関与するよう決心しなければならない」ことが書かれている。この「未来の歴史」という言葉は矛盾しているように思えるが、これは、協同組合が事業と運動を通して、「より良い別の世界の建設」する課題に積極的に取り組むこと、すなわち未来の創造者になることを決意するよう協同組合人に求めているもだと中川先生は強調しました。

 さらに「レイドロー報告」は、協同組合で取り組む「4つの優先分野」(1世界の飢えを満たす協同組合、2生産的労働のための協同組合、3持続可能な社会のための協同組合、4協同組合のコミュニティの建設) を提起し、協同組合人に対して「現代協同組合運動のより重要な目的」が何であるかを明確に示した「事業と運動の新機軸性」を持っていることを示唆した。

 協同組合は事業体であり運動体でもあるというユニークな特徴的性格を持っている。そのことが、協同組合の事業それ自体を「自己目的化」するのではなく、協力し協同するという「人間の本来的な関係」をより厚くし、より深めていく手段として事業を位置づけ、したがってまた、事業と運動をより良い社会を創っていく手段に高めるのであると強調しました。

 次に中川先生は、ロッチデール公正先駆者組合における「一人一票の議決権」に触れて、肌の色や民族、政治的・宗教的信条も関係なく、男でも女でも組合員になれることを当然とした世界史的先駆性を強調した。ロッチデール以前の社会も当時の社会もこのような「自治、権利、責任、参加」の遂行(参加の倫理)という普遍的行為は存在しなかったのである。確かに、先駆者組合においても女性は前面に出ることはほとんどなかったが、今や女性の力なくして生協運動は成り立たないと例をあげ、少数者の意見を多数意見にしていくのが協同組合の社会的使命(ソーシャル・ミッション)であり、少数者のために立ち上がり、多数者の意見に変えていくことが協同組合の社会的使命なのである。このように「協同組合の世界史」を辿ってみると、かつては特別な存在であったことが、現代では当たり前の普遍的な存在となっている、このことこそ「協同組合が未来の歴史を書く」ことだと説明しました。

 協同組合は、組合員のニーズと願いをかなえることを目的とするとし、生協がニーズに応え、産直活動や添加物排除に取り組むと、スーパーマーケットは真似をしてきた。これは協同組合が事業と運動を通して市場メカニズムを変えてきたということだ。だから、徹底的に組合員の側に立って考え、行動することでニーズを実現させ、スーパーに生協の真似をさせることが、生協の社会的使命になる。しかし、組合員のニーズについては、その背景やそもそもの原因を考える必要がある。例えば、「安いものを供給してくれ」というニーズがある場合、元の原因は何か? 非正規が若者の大多数を占め、低所得が根本原因であることも考えられる。その場合、生協として、この社会問題の改善運動に取り組まなければならない。これは、協同組合の事業と運動の基本的スタンスが、シチズンシップと民主主義に基礎を置いていることからすれば、協同組合はまさに「異議申し立てのコミュニティ」であり、そのようなアイデンティティを擁する社会運動体なのだとの説明がなされました。

 「レイドロー報告」が最も強調したかったことは、世界の未解決の経済問題を分析するアプローチ、その未解決の経済問題の解決を図る方法を思考するアプローチ、そして政府・公的セクターと大企業・私的セクターの「二大権力」に拮抗する「第三の力」としての非営利・協同セクターのコアである協同組合セクターとして確かな能力を継続させるアプローチを、協同組合人に提示することであった。そうすることで協同組合人は、「未来の創造者になる」こと、「未来の歴史を書く」ことが協同組合人の権利であり責任でもあると自己意識化させる協同組合の事業と運動をこそ遂行するよう努力しなければならない、これである。

 協同組合は小さなものでもそれを広げ、普遍的なものにしていく所である。そのことを頭に入れて、事業と運動を遂行することが必要。ゲーテの『ファウスト』の一節に“はじめに行為ありき”とある。はじめに「言葉ありき」ではない。行為こそが協同組合の歴史を創る。最後に皆さんにお伝えしたいのは、「協同組合の歴史を大切にしながら、“はじめに行為ありき”を問いかけることです」と、中川先生は強調し、講演を終了しました。

 講演後に休憩をはさみ、中川先生への質問を受け付け、多数の質問がありましたが、中川先生には時間の許す限り回答いただきました。難しい内容ではありましたが、余り聞く機会のない協同組合の本質をお聞きすることができました。

 最後に、山形県生協連の阿部誠也常務が「社会全体の利益の為に必要な課題を、それぞれの協同組合の中で見つけだし取り組んでいきたい」と閉会の挨拶を行い、「協同組合講座」を終了しました。

 
 
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