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2014生協学校「協同組合運動の歴史・理念と社会的使命」を開催

大高研道教授が講演

 

 10月31日に山形ビッグウィングで山形県生協連主催の2014年生協学校「協同組合運動の歴史・理念と社会的使命」が開催され、県内の会員生協から組合員と役職員84名が参加しました。講師は、聖学院大学教授の大高研道先生です。

 はじめに、山形県生協連の松本政裕会長が開会の挨拶と講師の紹介を行い、早速講演に入りました。

 大高教授は、最初にご自身の生協との関わりについて話されました。子ども時代に共立社鶴岡生協の子育て文化協同の活動の中で過ごしたこと、学生時代は共立社生協と余目町農協の産直活動について研究されたこと、そういう中で協同組合への関心が高まり、院生時代には大学生協組織委員として活動されたこと、イギリス北アイルランド留学時代での「社会的排除と地域づくり」の研究、留学から帰国後の半年間、研究員として共立社で「地域調査とまちづくり協同組合」のレポートを作成したことなど、共立社との関わりを興味深く話されました。

 次に、協同組合運動の歴史について話されました。1844年に設立したロッチデール公正先駆者組合は、「最初の協同組合か?、なぜ世界的に有名なのか?、他の初期協同組合運動との違いは?」と質問形式で説明しました。ロッチデール公正先駆者組合は、運動面というよりは現金取引厳守など厳密な事業のやり方での違いで基盤を築いたのが特徴と説明し、その運営ルールがロッチデール原則として世界に広まったことを話し、9の原則を解説しました。(1)民主主義の原則(一人一票制)、(2)聞かれた組合員制度の原則(加入・脱退の自由)、(3)出資に対する利子制限の原則(必要最低限の利子だけを支払う)、(4)利用高に比例した割戻の原則(購買高に応じて配当する)、(5)市販価格の原則(値引きをしない)、(6)現金取引の原則(掛け売りはしない)、(7)公正な商売の原則(純良な品質、正確な計量)、(8)教育重視の原則(図書館・各種講座の設置)、(9)政治的・宗教的中立の原則(自主独立)。

 そして、ロッチデールの事業的な成功は、その力点を「コミュニティづくり」から「個々の消費者の生活の向上」にシフトさせる推進力になり、消費者の協同組合という性格に特化させることになったと解説しました。

 その上で、生協の社会的使命は「消費者の生活を守り、社会の中での地位を高めること?」だけにあるのかと、あえて疑問形で語られました。

 次にICA(国際協同組合同盟)の歴史についてふれ、1895年のICA設立から、バーゼル大会、パリ大会ICA原則、ウィーン大会ICA原則改正、マンチェスター大会ICA原則改正の流れを解説し、1950年代の流通競争の激化とヨーロッパの消費協同組合の経営危機のもとで、経営的発展に軸足をおいたアプローチヘの移行・変質が起こったと解説しました。1970年代から80年代にかけて多くの消費者協同組合が倒産や株式会社化する中で、1980年モスクワ大会で「西暦2000年における協同組合」(レイドロー報告)が出され、生協は消費者の欲望に応じることだけで満足してはならないと警鐘を鳴らしたと解説し、これは現代の協同組合運動にも共通する課題だと指摘しました。

 今日の生協事業の課題にふれ、広域の事業連合大型統合の根本問題は、組合員の消費者・利用者・顧客化にあるとし、生協事業と組合員の関係が、協同・協働ではなく、関係性の一方通行化に陥っていると指摘しました。そして、多様な個人(消費者・顧客・利用者)を巻き込む言説の先にあるものとして、「生協への期待は『食品の安全性』だけでなく『便利』『低価格』にも寄せられている」と分析した組合員意識調査報告書にふれ、事業・組織の拡大は、協同組合は何のために存在するのかという存在意義を薄め、利用者化した組合員の要望に一律的に応えることが重要なのか?と疑問を呈しました。そして「論点」として、「協同組合」は、何のために存在するのか?それは誰のために必要なのか?あらためて、考えてみてくださいと常に問い続けて仕事や活動を行うことの大切さを訴えました。

 次に、現代における協同組合への期待として、ILOや国連での国際的な期待にふれ、経済のグローバル化に対して、金銭では計れない価値の創造が注目されていること、「理念型経済」(内橋克人)の担い手としての共生セクターの役割発揮が求められていると指摘しました。

 その中で生協は「消費者」としての人格が強められている現代において、大きな期待がよせられていると指摘しました。他方で、人びとを「消費者」として対象化するプロセスは、消費と生産(サービスを含む)の分断と想像力の欠如を生みだす契機にもなると指摘し、消費経済の中でいかにして「命の連関」を意識する場面を想像することができるかが生協の重要な使命であることを強調されました。

 次に、協同組合理解の深化と共有へむけて、教育の重要性を訴えました。レイドロー報告では、「教育怠慢の罪」として、教育が商業問題や事業上の問題に限定されている、多くの協同組合において組織としての恒常的・継続的な教育計画・体制が整っていない、教育がその場限りのものであると指摘し、その結果として新しい世代の組合員はとくに協同組合とは何であるか、なぜ誕生したのかが理解できなくなっていると解説しました。

 さらに、ゴエダールの協同組合が克服すべき課題「3つの欠如」にふれ、1「民衆一般の間での協同組合に関する情報の欠如」→協同組合に対する認知度の欠如、2「協同組合の組合員の間での知識の欠如」→組合員の当事者・主体者意識の欠如、3「協同組合の経営陣の間での深遠な協同組合イデオロギーの理解の欠如」→経営者と利用者化した組合員、を説明し、経営者と従業員、従業員と組合員といった協同組合を構成するメンバーの二極化とそれに伴う学びの主体の分化および客体化が進行していると指摘しました。

 次に、協同組合としての認知度の低さについて、全労済協会が行った『協同組合と生活意識に関するアンケート調査結果』をもとに説明しました。

 「次の団体のうち、協同組合だと思われるものは、どれですか」という設問で、各種団体が「協同組合」であることを理解している割合は農協72.8%、漁協62.6%で、生協は5割を切っていた(48.4%)。

 「協同組合はどのような団体だと思いますか」という設問では、正解の「民間の営利を目的としない団体」と答えた人は36.2%に留まった。

 「東日本大震災での支援・復興で、どの組織・団体の活動が印象に残りましたか」という設問では、「協同組合」と答えた人はわずか6.6%。

 協同組合の認知度・理解度が、自分達が思っているほど、地域に浸透していないことを数字をあげて指摘しました。

 次に、生協に何ができるか?とし、生協を知ってもらう取り組みに関しては、1組合員教育・職員研修の再考、2学校等への働きかけ、3広報活動をあげ、生協の価値を伝える努力は必要だが、しかし「何のために?」を問い続けることが必要と指摘しました。

 次に、班の機能と役割にふれ、班は単なる「意見吸収装置」ではない、事業を通した組合員活動の場であった「班」の本質的機能とは何であったのかと問い、1暮らしに根ざした対話・話し合い、2場の柔軟性(フラットな関係性)、3コミュニティ媒介者としての職員の役割の3つを重要な要素としてあげました。全国的に取り組まれている「おしゃべりパーティ」については、組合員をつなげる効果を上げたうえで、つなげた次の展開をどうするのかと問い、暮らしの主体者としての意識化と行動の省察的展開にどう結びつけるのかという問題提起をしました。そして、「きく」取り組みの意味と意義について、資料をもとに解説しました。

 最後に、あらためて協同組合の役割を考えるとし、2つのことを強調しました。

 一つは、生産と消費の距離を縮める媒介としての生協の役割の重要性。非人格的関係の転換、関係性の取り戻し、創造力の回復に協同組合は取り組むべき。

 二つ目は、基本的信頼の回復にむけたコミュニティ形成の役割の発揮。現代社会は不安社会と言われている。国も社会も家族も守ってくれない現代リスク社会において、組合員の協同的自助組織としての協同組合の役割はますます重要になってくるものと思われる。そのような中で、「生活に不安があるから組合員になる」という人びとがどれだけ増えていくであろうか?

 協同組合の本質的価値とは社会的に有用な商品・サービスを提供しているか否ではない。「協同組合につながっていれば、何とかなるという“基本的価値”を組合員がもてるか」ということこそが課題の焦点であり、この協同(つながる)の価値の発見・共有こそが教育の目的となるべきであろう。

 と指摘し講演を終えました。

 その後、大高先生の講演を聞いて「これからの仕事や活動に活かしたいこと」というテーマでグループ交流をしました。

 各グループからは、「生協の原点を大切に」、「生協をもっと知ってもらう取り組みを」、「なぜ? という疑問を常に心がける」、「つながる価値の発見」、「きく、想像力」などのキーワードをもとにした発言が相次ぎました。

 最後に、菅井県連副会長が閉会のあいさつを述べ、参加者から感想文を提出して頂き、終了しました。

 
 
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