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TPPから食と暮らし・いのちを守る学習会

翼賛政治を打破するために国民的連携を

〜鈴木宣弘東大教授が講演〜

 

 12月17日、山形市ビッグウィングにおいて、 「TPP断固反対」山形県連絡会議の主催で『TPPから食と暮らし・いのちを守る学習会』が開催され、約450人が参加しました。

【長澤豊中央会会長】

 最初に、連絡会議を代表して、山形県農業協同組合中央会の長澤豊会長が「交渉内容を明らかにすることなく、国民的議論もないまま大筋合意に至ったことは甚だ遺憾だ。政府が発表した合意内容は、農林水産分野では、重要5品目への特別輸入枠の設定や段階的な関税削減・撤廃に加え、野菜・果樹などを含めた多くの品目において関税撤廃が行われるとともに、県民の暮らしに直結する食の安全・安心や医療、ISDS条項などについては未だ具体的な説明がなく、到底納得できるものではない。大筋合意に至ったものの、国会決議との整合性の検証や暮らし全般への影響の検証を求めるなど、運動を継続すべき状況に変わりはない。引き続き強力な運動を展開していく。本日の学習会で問題点について理解を深め、まわりに広げていただきたい。」と挨拶しました。

 続いて、JA全中農政部国際企画課の藤本卓調査役が、TPP大筋合意に至る経過、TPP関連政策大綱の内容、今後の見通しについて、情勢報告を行いました。

 続いて、東京大学大学院鈴木宣弘教授が、「TPP大筋合意の内容と県民の食と暮らし・いのちに与える影響について」と題して、基調講演を行いました。

 最初に、鈴木教授は、「日本ではTPP協定の日本語版も国民に示さず、影響試算もいつ出すか曖昧にされたままで、国会決議を守ったと強弁するだけの国内対策だけが先に示されている」とし、交渉過程は4年間秘密なので説明できないとの逃げ口上で、どさくさに紛れて批准してしまおうと政府は狙っていると、批判しました。

 そして、政府が「TPPはバラ色」として説明している、「農林水産業への影響は軽微」、「TPPはビジネスチャンス」、「健康と環境は訴えられない」、「消費者は利益」、「食の安全基準は守られる」は、全てウソであると事実を挙げて解説しました。そして、事実を隠して「TPPはバラ色」と見せかけ、自身の政治的地位を少しでも長く維持するために、国民を犠牲にしても、米国政府と多国籍企業の意向に沿おうとする行為は容認できないと批判しました。

【鈴木宣弘東大教授】

 そして、TPP交渉では譲らない国益として決議した事項が、実際にはほとんど米国の要求どおりに実現されているが、それは、「すべて自主的に国内政策の見直しでやっただけだ」と説明され、それ以上追及できない。しかし、結局、もう時効だと言わんばかりに、ウソだったことを堂々とTPP合意の付属文書に出してきた。交渉参加前の2年間、TPP参加を米国に承認してもらうために要求された「入場料」に応える裏交渉が続けられたが、単なる意見交換と国民に説明され、けっして認めなかった。しかし、これも堂々とTPP合意の付属文書に出してきた。

 それは、軽自動車の税金1.5倍、自由診療の拡大、薬価の公定制の見直し、かんぽ生命のがん保険非参入、全国2万戸の郵便局窓口でA社の保険販売、BSE(牛海綿状脳症)、ポストハーベスト農薬(防かび剤)などの食品基準の緩和、ISDSへの賛成などで、日本のTPP参加を認めてもらうための米国に対する「入場料」交渉や参加後の日米並行協議の場で「自主的に」対応してきたことを、TPP合意の付属文書をもとに具体的に指摘しました。

 更に、大筋合意後の米国投資家の追加要求に、日本の「規制改革会議」を通じて対処することが約束されており、TPPの条文に書かれていなくとも、際限なく続く日米2国間会議で、日米多国籍企業の利益のために国民生活が犠牲になる「アリ地獄」にはまっていると警鐘をならしました。

 今の日本は、「今だけ、金だけ、自分だけ」=「3だけ主義」で、どこかにしわ寄せをして自らの目先の利益を追求する風潮が強いように思われる。買いたたきや安売りをしても、結局誰も幸せになれない。それでは、結局、皆が「泥船」乗って沈んでいくようなものである。「3だけ主義」でなく、「売り手よし、買い手よし、世間よし」の「三方よし」でなくては社会の持続的で均衡ある発展は望めない。食料に「安さ」だけを追い求めるのではなく、皆が持続的に幸せになれるような適正な価格形成を関係者が一緒に検討すべきであると指摘しました。

 そして、以前にも増して日本の政治や企業のリーダーは「今だけ、金だけ、自分だけ」の追求については極めて有能であるが、社会全体の発展や持続性を考慮する資質は明らかに落ちてきているように思われる。巨額の個人的利益を得ている一部の人が、政府の中枢に入り込んで、「規制緩和」の旗印の下に、露骨に、さらに貪欲に「今だけ、金だけ、自分だけ」で、多くの国民の生活を犠牲にしつつ、私益を追求する行為は目に余ると指弾しました。

 そして、TPPやそれと表裏一体の規制改革、農業・農協改革を推進している「今だけ、金だけ、自分だけ」しか見えない人々は狙っている「農協解体」は、350兆円の郵貯マネーを狙った「郵政解体」と重なる。米国金融資本が狙っているのは信用と共済の計140兆円の農協マネーであり、次に農産物をもっと安く買いたい大手小売や巨大流通業者、次に肥料や農薬の価格を上げたい商社、さらに農業参入したい大手小売・流通業者、人材派遣会社などの企業が控える。だから「農協が悪い」を大義名分にして、市場を奪おうとしていると、農業・農協改革の本質を指摘しました。

【ビッグウィング2階大会議室】

 そして、日本農業が過保護だから自給率が下がった、耕作放棄が増えた、高齢化が進んだ、というのは間違い。過保護なら、もっと所得が増えて生産が増えているはずだ。逆に、米国は競争力があるから輸出国になっているのではない。コストは高くても、自給は当たり前、いかに増産して世界をコントロールするか、という徹底した食料戦略で輸出国になっている。つまり、一般に言われている「日本= 過保護で衰退、欧米=競争で発展」というのは、むしろ逆である。

 農業所得に占める補助金の割合も、日本では平均15.6%だが、EUでは農業所得の95%前後が補助金だ。そんなのは産業かと言われるかもしれないが、国民の命、環境、国境を守っている産業を国民が支えるのは欧米では当たり前なのである。その当たり前が当たり前になっていないのが日本である。それから、米国も、カナダも、EUも、コメなどの穀物、乳製品の生産が増えて支持価格を下回ると、支持価格で無制限に買い入れて、国内外の援助物資にしたり、補助金をつけて輸出したりして、最終的な販路を政府が確保して価格を支える仕組みがある。しかし、日本はこれをやめてしまった。こういう事実を無視して、日本の農業が過保護であるから競争にさらせばよいという議論をしてしまうと、すでに他の国と比べると相対的に相当に保護されていない水準になっている農業を最後の砦まで外されてしまい、強くなるのではなくて、息の根を止められてしまいかねないと指摘しました。

 そして、TPPは大筋合意といっても、まだ詰まっていない問題はあるし、米国議会をはじめ、批准には大きな困難が予想されている。日本だけ焦って、「すべて終わったことで、あとは攻めの農業」と喧伝して、企業が儲けられる農業だけが生き残ればいい、という方向に政府は誘導しようとしている。ここで、従来の政策の延長戦上で、目先の予算獲得の条件闘争に陥ったら、政府の思うつぼにはまる。よほどの抜本的な政策転換が示されない限り、百歩譲っても、国会決議を守ったとは認められない。国会決議を守ったといえる根拠が示せない限りは、批准の手続きをさせてはならないと強調しました。

 農業以外の雇用、医療、公共事業、食の安全などの、様々な分野での国民生活への懸念についても、それが払拭できる説明がない限り、批准の手続きはありえない。TPPに反対してきた人や組織の中にも、目先の自身の保身や組織防衛に傾き、現状を受け入れて、条件闘争に陥る人もいるだろう。しかし、それでは現場で頑張っている地域の人々や農家に示しがつかない。現場の人々ともに、強い覚悟を持ち、食と農と暮らしの未来を切り開いていくために主張し続けていく必要がある。

 安保もTPPもしかり。国民を犠牲にして、農家を犠牲にして、大政翼賛会みたいな政治をやって文句を言わせない政治家は、結局は自分の地位を守りたいだけである。そのためにつながっている人の利益を何とか確保しようと言っているだけである。こんな政治家は人間としても終わっている。それに何も言えない人たちも終わっている。だからそういう人たちは全部、お引き取り願うしかない。

 ただ残念なのは、農業関係者、JAも、だまされて、だまされて、また、だまされて、ここまでやられて怒っているが、結局、政権党支持から抜けられない状況が地域では多い。代わりに投票する選択肢がないとよく聞く。しかし、そんなことはない。真に地域の声、農家の声を代表してくれると思う自分たちの代表をしっかりと立てて、その人に投票すればよい。翼賛政治を打破するための国民的連携も必要である。こうした運動を全国的に展開し、こんどこそ、だまされたままでは終わらせないことが重要であると指摘し、講演を結びました。

 最後に、「申し合わせ」を山形県生活協同組合連合会の廣部公子理事が読み上げ、「食と暮らし・いのちを守り、豊かな地域社会を次の世代に引き継ぐため、国民・県民各層との連携の輪を広げながら、引き続き強力な運動を展開いく」ことを皆で拍手で確認し、学習会を閉会しました。

【山形県生協連廣部公子理事】

 
 
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