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2017年度 協同組合講座を開催

「協同組合は何のために存在するか」

岩手県生協連加藤善正顧問が講演

 

 7月5日、鶴岡市の東京第一ホテル鶴岡で協同組合講座を開催しました。県内の会員生協より80名の参加がありました。講師は岩手県生活協同組合連合会顧問の加藤善正氏です。加藤氏には「協同組合は何のために存在するか/58年の生協人生から考える〜遺言的提言〜」と題して講演いただきました。

 山形県生協連の菅井道也会長が開会のあいさつを述べ、さっそく講演に入りました。

 加藤善正氏は、まず「58年の生協人生・スケッチ」として、生協運動への係わりは、1960年の安保闘争の敗北がきっかけで生協設立運動を始め、1961年岩手大学生活協同組合を設立、その後「盛岡牛乳を安く飲む会」を設立し、それを母体に1969年に盛岡市民生協設立したこと。その際、鶴岡生協の佐藤日出夫氏に学び、家庭班を運動の基礎組織に位置づけ、生協は民主主義の学校として学習に力を注ぎ、運動と事業を一体的に展開した。そして、1990年に5つの地域生協と学校生協宮古の合併で「いわて生協」を誕生させ、1995年にはみやぎ生協、生協共立社、いわて生協の3者でコープ東北サンネットを設立し理事長に就任、「主体は単協・組合員」を貫く運営を実践した。岩手県生協連との関りは、1966年の県連創立時から、常務理事・専務理事・会長理事を歴任し、2017年6月21日に顧問に就任したと、これまでの生協人生を紹介した。

 次に、加藤氏は「先人から学んだ協同組合ならびにトップ機能」として、4人の方を挙げ、その業績を紹介した。

 先ず、初めに鶴岡生協創立トップの佐藤日出夫氏を挙げ、「生協運動のあるべき姿、基本理念の実践」を学んだ。次に、志和農協組合長の熊谷久氏を挙げ、ビジョン型中期計画ではなく、「組合員と常勤者の現実の悩み・要求からベクトル合わせの型の中期計画」を実践、協同組合運動のあり方を学んだ。次に、協同組合経営研究所の一楽照雄氏を挙げ、協同組合運動の基本的価値・原則的な理論と実践を学んだとして、一楽語録と「闇夜に種をまく如し」の書籍を紹介した。最後に、『状況が人を動かす』の著者である藤田英夫氏を挙げ、「金と物は管理すべきだが、人は管理してはならない、リードすることである」としてボトムアップ型のマネジメントを学んだと紹介した。

 次に、「現在の生協の4つの理論的・実践的弱点とは何か」として、次の4点を指摘した。

①1966年のICA総会で決定された「政治的中立」原則の削除を学ばず、「生協は政治的中立」という「思考停止」を続け、「運動」を「活動」に矮小化し、組合員の成長・社会的生きがい、生協の社会的ミッションを麻痺させている。

②規制緩和や民営化、それをさらに推進するグローバリゼーションがいかに組合員や社会的弱者を傷めつけるかを正しく捉え、財界やアメリカの主導する経済政策に協同組合はいかに対峙し闘うかが21世紀の日本生協運動の最大のミッションである。しかし、日生協の路線や政策においては、「グローバリゼーション礼賛」、「新自由主義・規制緩和・企業の利潤最大化」、社会保障は「税と給付の一体改革」が貫かれており、情勢分析にはいろいろ厳しい側面として記述しながらも、その背景や原因を解明することを避けているから、政治的・社会的課題やそれらといかに闘うかが、方針・政策上打ち出されず、協同組合としての生協像が明確になっていない。

③3番目の問題は、このグローバリゼーションの罪悪・弊害が掘り下げられず、それらがもたらす組合員や国民のくらし、その基盤である地域社会がいかに厳しいか、「貧困と格差」の恐るべき進展が解明されていない。したがって、それとの闘いを協同組合の歴史的ミッションとして位置づけないままに、「協同組合は助け合いの組織である」という「定義?」が定着しつつあることの危険性である。

④日生協は2017年度から「全国生協・人づくり支援センター」を設立し、人材の確保と育成(組合員リーダーも含め)に力を入れる方針を打ち出したことは、基本的に賛成する。しかし、この動機が「協同組合らしい生協」「生協らしい政治的・社会的ミッションの明確化と運動の前進」ではなく、安倍首相の「働き方改革」の影響、「労働力不足・採用難への対応」「組合員と常勤者との乖離・二元論の固定化」であるとしたら、取り返しのない危険性さえ予感する。

 最後に、「協同組合としての生協運動へ、いまめざしたい方向」として、7つの行動を提起した。

①「生活協同組合運動」とは何か? この命題を日常のすべての生協運動の実践において、常勤者幹部、役員、組合員リーダーが問い続けることである。そのためには、「協同組合らしくないこと」「協同組合らしいこと」という「モノサシ」を自由に使って話し合う習慣、組織文化を執拗に固めることが必要である。

②そのためには自らの生協の「設立趣意書」「創立期の歴史や歩み」を学び共有化する。ICAの1995年の「協同組合とは何かの宣言」にある、「定義・価値・原則」を繰り返し学び、話し合うことを、日常の会議や行動の中で実践する。

③こうした取り組みは「ダサい・面倒だ・いまさら・時間がない」などと軽視するなら、現在の新自由主義・競争社会・効率と成長優先社会、「今だけ・カネだけ・自分だけ」などの風潮・環境の影響を真正面から受けて、競争私企業との同質化・協同組合らしくない生協への転落・変質をする、という危機感を持つことである。

④生協の政治的・社会的・歴史的ミッションは、組合員・国民・世界の人々の最大の願い・要求である「戦争は絶対いやだ、平和で生きる権利」を最大限重視し、運動と事業の根底におくこと。そのためには、先の戦争の歴史やその中での人々の暮らしの実態、侵略戦争がもたらしたアジアの国や人々への謝罪、それらの総結集体としての「日本国憲法」を学び、その理念や内容をくらしに活かし、確実に実現することを日本の生協運動の最大のミッションにすること。

⑤こうした生協運動を構築するためには、常勤幹部を中心に常勤者が現実の「政治・経済・社会」に対する関心と学習を不断に行い、「スーパー労働者・経営者」から「生協人」「協同組合人」に成長するシステムを構築すること。

⑥特に国家権力がマスメデアに強力な支配力を持っている現代において、ジャーナリズムは権力への批判が本質であるが日本のジャーナリストといわれている人々は巨大なマスメデァ会社の社員である。日本ほど新聞やテレビが発達し、国民がよく読んだり見ている国はない。こうした社会において、個人が得る情報で判断し考察することは極めて危険であり、必ず近くに人々と話し合うことが不可欠である。「個人」から「共通」への転換。そこに生協の「協同」の意味がある。

⑦人間個人も組織・団体も、厳しい局面では「内向き・上向き・後ろ向き」の発想や方向性に陥る危険がある。そこから意識的に脱却し「外向き・下向き・前向き」な志向に転換することにより、成長・発展・充実のプロセスを歩むことが出来る。

 と講演を結びました。その後、会場から6枚の「質問用紙」を回収し、加藤氏に回答していただきました。

 最後に、安達忠士常務理事が閉会のあいさつを述べ、協同組合講座を閉じました。参加者からは以下のような感想が寄せられました。

◯生協、協同組合が政治や社会の矛盾や問題に立ち向かわない事は、結局組合員の暮らしに貢献できない。この頃「生協運動」という言葉が聞かれなくなった。事業も大切、組合員活動も大切、でも目指すべきビジョンやミッションの手段であるはずで、それぞれが目的化してしまいがち。その自己矛盾を打破するためにも、事業や活動をひっくるめて、協同組合の価値を実現しようとする「生協運動」に取り組んでいく姿勢が大事だと思った。

◯ユネスコで協同組合の思想と実践が無形文化遺産に登録された。今までの取り組みへの評価だけでなく、これからの協同組合の果たす役割に対する期待であると思う。協同組合がコミュニティづくり、地域変革、社会変革に有用な仕組みとしての確信が大切かと。今後、もっと協同組合の教育研修を要望する。

◯社会的、政治的課題に真正面から向っていくのが、生協運動である。良い社会をつくるために。「貧困と格差」「憲法改悪」の危機にある今、協同組合間協同と生協運動の果たす役割は大きいと教えて頂きました。みんなで学び、みんなで声を上げ、運動を周囲に広げて行きたいです。

◯協同組合について久しぶりに知見を得ることができました。特に、「協同組合は助け合いの組織だ」という表面的な生協観ではなく、人々の生活が大変になっている状況を踏まえ、その状況の本質を深く理解し、そこに向けて活動を行わないといけないという生協観を持たなければいけない、と深く感じました。

 
 
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